TRANSALP400Vのエンジンである狭角52度Vツイン・エンジンは、1983年にNV400Customに搭載されて以来、その20年以上に及ぶ歴史の中で多くのバリエーションを生んだ。 排気量で見ても、400cc(NV400、BROS、TRANSALP、Steed、Shadow、VRX Roadstar)、500cc(VT500)、600cc(Steed、TRANSALP)、650cc(BROS、AfricaTwin、TRANSALP)、750cc(AfricaTwin、Shadow)、1300cc(VTX)、1800cc(VTX)と、7種類も存在する。
400Vに搭載されているエンジンは、仕様的にBROS Product2(400cc)と非常に近い。 そのBROSには、Product1(650cc)という兄弟モデルが存在する。 本稿では、400VにBROS P1のエンジンに搭載するにあたっての留意点について記述する。
前述のように、52度Vツイン・エンジンで、400ccより大きな排気量を持つ物はいくつかある。 しかし、入手性を考えるとBROS P1用(650cc)かAfricaTwin(RD04、07)用(750cc)のどちらかに絞られる。
エンジンにキャブレターが付属してくれば、そのまま使うのが問題が少ない。 付属してない場合はどこからか探してくる必要があるが、いっそのことBROS用のFCR(絶版)にするという手もある。
スパークユニット(CDI、フルトラ)は、出来るだけ換装するエンジンの物を使用するのが望ましい。 その場合、400Vのワイヤーハーネスに対して、何らかの改造が必要となる。
.スパークユニットの交換により、イグニッション・コイルも交換することになる。 というのは、400Vは各プラグにコイル1個だが、BROSやAfricaTwin(RD04、07)は各気筒ごとにコイル1個(CB1300SFなどマルチ用と共通)となっているからである。
尤も、400Vのイグニッション・コイルは、ハイテンションコードが直付けなので交換が困難である。 社外品のコードを使うことを考えれば、コイルの交換は好都合な面もある。
400Vと600Vでは、エアクリーナーのみならずボックスの形状も異なるようだ(取り付け寸法は同じ?)。 吸気特性の関係で、600V用のエアクリーナー・ボックスへの交換が必要となるかもしれない。
エンジンを換装すれば、二次減速比も見直す必要がある。 400Vに装着可能なドライブ・スプロケットは、AFAMの製品では14〜17Tまで存在する。 しかし、スプロケットを小さくすると、チェーンの摩耗、破断を招く恐れもあり、出来れば15Tを下限に考えたい。 ドリブン側は37T〜45Tまでラインナップされている。
二次減速比の問題は、なかなか難しい。 BROS P1のエンジンは、TRANSALP系やAfricaTwin系と比較して一次減速比が高く、変速比もクロスレシオとなっている。 つまり1速を600Vに合せると5速の減速比が低くなり過ぎて、高速巡航で支障がでる。 逆に5速を合せると1速が高過ぎて、ゼロ発進でもたつきハーフクラッチが長くなってしまうのだ。
だが、実は選択肢はなかった。 ドライブ側を15Tとすると、ドリブン側は45Tが最大であることから、二次減速比は3.000が上限となる。