特集:アフリカツインのリアショックユニット


はじめに

某オークションに、アフリカツイン(以下AT)のリアショックユニットが出品されていた。 以前から、ATとトランの足回りの違いについて興味があったので、ダメ元で入札したら他に応札する人が居なくて落札できてしまった(落札金額は\6k)。 

リアショックは車体の奥の方に位置しているので、じっくり見たり採寸したりするのは、こういう機会でもなければ難しい。 以前、自分の400VNにHyperproのリアサススプリングを装着した際に、トランのリアショックの採寸も行っているので、この2つを比較してみることにする。

ATのリアショック

届いたリアショックは、思いのほかキレイな状態だった。
基本的な造りは、400VN用と同じだが、リザーバータンクが付いており、放熱性に優れているという。
リザーバータンクは短いオイルラインで接続されているのだが、これって分解して中の作動油を交換したりできるのだろうか?
400VNではダンパー外筒にそのままねじ山が切られていたが、ATではねじ山を切った別体のリングが被せてある。
車体側の取り付けはM10ボルト。
スイングアーム側もM10。
ダンパーロッドは、ブラケットに直接ねじ込まれている。

400VNのリアショック

サススプリングを交換しながらの撮影だったので、詳細な写真は残っていない。
スプリングとスプリングガイドを外した状態。 ダンパーロッドに付いているゴムは、バンプストッパー。 サービスマニュアルによると、ショックのストロークは67.5mm。

RD07用オーリンズ・リアショック (6,Sep,'03追記)New!

オークションで中古のオーリンズを入手した(走行距離5,000km)。 落札価格はAT純正の10倍以上。

 自由長は382mmだった。 ストロークは不明。
スプリングの素線径は約12mm。 品番は1096-26/8.5となっているので、ばねレートは8.5kgf/mmということか?。
どうしても欲しかった最大の理由である、プリロード・アジャスター。
下側のジョイント部には、伸び側減衰力の調整ノブがある。 届いた時は、締め込んだ状態から34段緩めた状態だった。
圧側減衰力の調整は、別体式リザーバータンクにある。 届いた時は、締め込んだ状態から7段緩めた状態だった。
 ホースの長さはAT純正よりも長く、MHでモディファイしたATショックに近い。 これならそのままトランにも装着できそうだ。
ロッドを覆うダストカバーが無いので、フリクションは少ないが錆や汚れが心配。

年式による相違

ATのパーツリストによると、年式によってリアショックに違いがあることが判る。 国内向けRD07では、

XRV750P('93)
52400-MY1-701 圧縮側減衰力調整機構あり、ダストカバー無し
XRV750R, S('94-'95)
52400-MY1-901 圧縮側減衰力調整機構あり、ダストカバー無し
XRV750T-Y('96-'00)
52400-MAY-003 減衰力調整機構無し、ダストカバーあり

となっている。 プリロードの調整ナットやダストカバーなど、各パーツのバラ売りはされていない。 ちなみに国内向けRD04の場合は、

XRV750L, M(('90-'91)
52400-MV1-701 圧縮側減衰力調整機構あり、ダストカバーあり
XRV750N('92)
52400-MV1-771 圧縮側減衰力調整機構あり、ダストカバーあり

となり、スプリングも含めたパーツのバラ売りもある。

以上の事から、今回入手したリアショックは、'96年以降のATの物だと考えられる。

寸法図

ご注意

ここに示す図は、実測結果を元にしたものであり、多くの誤差、誤りを含んでいる可能性がある。 本図を参考にした結果、いかなる損害が発生しようとも、当方は関知しないので念のため。

'94 アフリカツイン(RD07)

'92 トランザルプ400VN(ND06)

サイズ比較

ATと400VNのリアショックユニットのサイズを比較した結果、ショック長(ピボット穴軸間)がATの方が5mm長い点以外は、取り付け部の寸法は同一であった。

ばねレートとストローク

AT純正ショックのばねレートは、89.2kN/mmである。 スプリングの素線径はΦ12.2。 標準スプリングセット位置は、ナットを2.8mm締め込んだ状態となっている。 ロッド反力の0.265kNと合わせ、プリロードは1.41kNとなる。
 400VN純正ショックのばねレートは残念ながら不明だが、スプリングの素線径(Φ13)からすると、ATよりもう少し硬くて100kN/mm前後ではないかと推測される(ノーマル400VNとの比較試乗でも同じ印象を受けた)。

ATと400VNは車両重量はほぼ同じであり、同じジャンルのバイクである。 キャラクター的には、おとなしい400VN、アグレッシブなATという印象だが、ばねレートはATの方が一割も柔らかいことになる。 これはどういうことか?

その理由は、ダンパー構造の違いにある。 400VN純正は窒素ガス加圧式だが、リザーバータンクを持たない、コンベンショナルなダンパーである(エマルジョン型か、フリーピストン型かは不明)。 このタイプは、ダンパー室上部に窒素ガスの気室があるので、ダンパー全長に対してストロークを大きく取ることができない。
 それに対して、AT純正はホースで接続された別体式のタンクを持つ。 窒素ガスは、タンク内でゴムの隔壁を介してオイルを加圧している。 つまり、ダンパー室全部をピストンのストロークに使えるのである。

実際に、AT純正は軸間380mmに対してストロークが90.5mm。 400VN純正は、軸間375mmに対してストロークは67.5mmに過ぎない。 そしてATでは、そのストロークの長さを有効に使うために、プロリンクのクッションアームの形状を変えて、スプリングのばねレートも柔らかくしてあるのだ。 簡単に言うと、400VNと同じ量リアタイヤが動いたとしても、ATの方が大きくショックが縮むようになっている。

流用は可能か?

バカ言っちゃいけないよ。 でも、有り得ないとも言い切れないな。 :-)