特集:400VNのブレーキ強化


序文

400VNの最大の弱点といえば、その車重に対してブレーキ性能が低い点だろう。 制動力、タッチともに、かろうじて及第点といったレベルである。 まあ、サス性能やタイヤの特性もあるので、いたずらに制動力を高めて”握りゴケ”を起こすことを懸念して、若干甘目の設定にしてあるのかもしれない。

このページでは特集として、ブレーキ性能の強化についての記事をまとめてみた。 あまり一般的とは言えない改造も行っているが、参考になれば幸いである。

これまでの記事

項目 日付
FR/RRブレーキ・パッド交換(デイトナ) 2000/7/30
FRブレーキ・ホース交換 2000/7/31
RRブレーキパッド交換(RK) 2002/9/27
RRブレーキ・ホース交換 2002/9/29
FRブレーキパッド交換(RK) 2002/10/19
前後キャリパーのオーバーホール 2002/12/19
RRブレーキキャリパー交換 2003/7/5
リヤブレーキローター&パッド交換 2003/8/13
RRブレーキパッド交換 2003/8/30
FRフォーク&ブレーキ再構築 2003/9/1

ブレーキ強化の手法

1.キャリパーの清掃(オーバーホール)

まず一番初めに行うべきことは、前後キャリパーのオーバーホールである。 特に400Vのように古いバイクの場合、シートから転げ落ちるほどの違いを感じるはずだ。 最も効果が高く、そしてコストの低いチューニングである。

具体的な内容については、整備記録を参照してほしい。 もし自分でやるのが不安となら、ショップに頼んでもいい。 シール類は交換せず、ピストンの清掃とシリコングリスの塗布だけでも、ずいぶん違うはずだ。

とにかくこれをやっておけば、その後のブレーキチューニングの効果も分かりやすくなる。 ぜひとも怖がらずにチャレンジしてみてほしい。

2.ブレーキパッドの交換

ノーマルの状態からブレーキパッドを社外品に交換するだけで、大幅な制動力の向上と若干のタッチの改善がみられた。 通常は、これだけで十分であろう。 あとはキャリパーの清掃と、パッドピンへのシリコングリスの塗布、ブレーキフルードの交換を定期的に行うことだ。

3.ステンレスメッシュ・ブレーキホースへの交換

メッシュホースへの交換は、カスタムの常道といえる。 非常にソリッドなタッチとなり、ノーマルのゴムホースはそんなに膨張してたのかと驚くほどだ。 最初は握り過ぎないように気を使うが、すぐに慣れる。 メッシュホースはレースや走り屋向けと思われがちだが、長距離ツーリングで疲れた時でも”効いてほしい分だけ効いてくれる”ので有効だと思う。

一方で、メッシュホースにすると、ブレーキ特性のアラが目立つこともある。 ゴムホースよりも耐久性が低いので、定期的な交換(4〜5年?)が必要になるもデメリットだ。

4.ブレーキフルードの交換

高性能なブレーキパッドは、運動エネルギーを熱エネルギーに変換する効率が高い。 だからブレーキが高温になりやすいのだが、その熱がブレーキフルードに伝わると、フルードが沸騰して”ベーパーロック現象”を起こりやすくなる。 念のため、ブレーキフルードは定期的に交換しよう。

”Super DOT4”などと銘打って販売されている物は、普通のフルードに比べてベーパーロックが起こりにくい。 圧力損失(液損)も少ない。

5.マスターシリンダの交換

ブレーキタッチを改善したいなら、マスターシリンダを交換するのが一番効果的だろう。 だがRRはまだしも、FRはナックルガードがあるので、交換にはひと工夫必要だ。

しかし、NISSINやbrembo、AP Racingなどの、高性能なレーシングラジアルマスターは高価(\30〜\50k)なのが難点。 CBR900RRなどに使われているNISSINのセミラジアル・マスターは、シリンダの配置を斜めにすることによって、ラジアルに近い効果を得ており評価も高い。 価格も\15k程度とレーシングラジアルの半値だ。 Φ17とΦ19がある。

6.ブレーキローターの大径化

ブレーキローターの大径化すると、理論的には制動力は向上する。 考え方を変えれば、ローターの大径化で制動力に余裕ができた分、パッドをよりコントロール性重視の物にすることができる。

しかし、良いことばかりとも限らない。 大径ローターにすると、林道などで石がヒットする確率が高くなるし、ジャイロ効果でハンドリングに影響が出る可能性も考えられる。 また、キャリパーサポート(アダプター)の製作も必要になるので、費用もかさむ(ローターを含んで総額4〜5万円)。

7.キャリパーの交換

ノーマルの片押しピストン型から対向ピストン型にできれば、制動力は向上するだろう。 だが残念ながらスポークと干渉するので、一般的な対向ピストン・キャリパーは使用できない(BRAKINGやBERINGER、PMCのスーパーモタード用キャリパーなら装着できる)。

同じ片押しでも、最新機種用は性能が(見栄えも)向上しているようだ。 ローターの大径化でキャリパーサポートを製作するなら、いっそキャリパーも換えてしまう手もある。 片押しキャリパー用のキャリパーサポートは形状が複雑なので、間にアダプターを入れる方法がとれれば、交換は可能だろう。

進行状況

品目 品名 状況
ローター BRAKING HO23FL 装着済み
キャリパー brembo 22.5553
アダプター ワンオフ
マスター NISSIN セミラジアル 17mm

12, Jun, '03

ディスク・ローターは、BRAKINGのΦ296ハイ・スタンダード・フローティングディスクを購入済み。

フロント・キャリパー交換は、当初CBR1100XX用片押し3Podキャリパーの装着を考えていたが、現在はbrembo片押し2Podキャリパー(22.5553)の装着を予定している。 キャリパーとサポートは確保済み。 アダプターの製作が必要である。 ピストン径はΦ32.5+Φ30。 400VNのノーマルキャリパーがΦ27×2なので、ピストン面積は36%増となる。

そのままでは油圧レシオが違いすぎるので、マスターシリンダーも交換となる。 400VNは1/2インチ(12.7mm)なので14mmあたりが適正値だが、ライコランドでNISSINの17mmセミラジアルタイプが安かったので購入。 レバーレシオも含めたトータルレシオでは、ラジアルの17mmと横置きの14mmは同じである。

18, Jun, '03

キャリパー・アダプターは、ネットで見つけた桜井工機(株)に発注した。 ブラックアルマイト処理も行ってくれるので、手間がなくてよい。 納期3〜4週間ということなので、7月中旬には出来上がるだろう。

ちなみにアダプターの設計にあたって、キャリパーについては現物を測定して寸法を出したのだが、フォークのアウターチューブに関しては、某所より入手した資料を基に設計を行った。 将来、対向4podキャリパーを装着する時も、キャリパー・サポートの設計は容易だ。 持つべきものは友人である。

bremboのキャリパーは、'01モデルのドゥービル用らしい。 パッドは2組あるので、当面は大丈夫だろう。 純正以外のパッドも、DELPHI(Lockheed)やRKエキセルから発売されているようだ。

28, Jun, '03

キャリパー・アダプターが送られてきた。 発注してから10日間で届いたことになる。 仕上がりは文句無し。 価格も安かったので、ワンオフパーツ作成を依頼するなら、桜井工機(株)はオススメである。

とりあえずブレーキ関係の部品は、これで全て揃ったことになる。 あとはFRフォーク待ちなのだが、アルマイト処理中のフォークボルトはさておき、スプリングはあと一ヶ月近く掛かりそうな見通しだ。

5, Jul, '03

FRブレーキの作業がペンディングになっているので、その合間にRRブレーキキャリパーを以前にオークションで入手していたAT(RD04?)用のキャリパーに交換した。 本当の交換理由は、アルミピストン化なのだが、ブリーダーの位置が上側に来るので、エア抜きは楽になるだろう。

RRのパッドが残り1mmくらいになっていたので、交換しなければならない。 ローターもガリガリなので、一緒に交換するつもり。

6, Aug, '03

BRAKINGのRRブレーキ用WAVEローター(HO05RID)を発注した。 これで前後ともBRAKINGの新品ローターになる。

31, Aug, '03Update!

ずいぶんと時間が掛かってしまったが、ようやくブレーキ強化の施策も完結した。 満足いく物が出来たと思う。